お侍様 小劇場 extra

    “秋の深まり” 〜寵猫抄より
 


この秋はそれは駆け足でやってきた感があり。
とんでもない台風被害という格好のそれを含む大雨が
あの酷暑の空気を持ってってしまったものか。
例年ならば、朝晩こそ徐々に冷え込みつつも、
昼間はいつまでも汗ばむ陽気が続き、
10月半ばにすとんと冷え込むのがセオリーだったのが、

 『今年は秋のいでたちを早々と楽しむお嬢さんたちも多いようですよ。』

某出版社の島谷先生担当の林田さんが、
そちらも秋の味覚であるモンブランを手土産にやって来て、
同じ出版社が発行しているファッション誌が紹介していた流行を
実際に目に出来ているのは久々かもなんて、
そちらの担当が聞いたら怒られないかという言いようをしていった。

 『今年はハロウィンも週末ですから、
  街に繰り出す仮装集団も多いことでしょうね。』

そういうニュースは、今時だとテレビ…よりツイッターとかラインとか、
いち早くリアルタイムで情報を拡散しちゃうだろうから。
雑誌や新聞という“紙媒体”は、
予想情報を早め早めに出すのを競い合った後は、
後日談とか拾うしかないんですがねなんて。
月刊小説誌という、もっと前倒しな媒体を扱うお兄さん、
完全に他人事みたいなお言いようをしておいで。
だがまあ、他人事扱いといや、
こちらのお宅も そうそうキャピキャピはっちゃける世代はいないので、
魔物に仮装するほどまでのお茶目はやらないけれど。

 「仮装せずともの黒いにゃんこもおりますしね。」

となると、久蔵には魔女っ娘のコスとして黒サテンのとんがり帽子くらいは
かぶってもらった方がいいのかなぁなんて、
思わないでもない辺り。
…あんまり“他人事”ではないような。(苦笑)

 「でも、本当にこの秋は
  いつまでも夏気分のままではいられなかったですものね。」

ともすれば八月の内から上着が欲しくなるよなお日和もやってきたし、
九月も雨の日が多かったような印象が強く。とはいえ、

 「みゃっvv」
 「にいまう。」

他の木々はまだ緑の内からはやばやと枯葉を落とす木蓮の根方、
芝草の上でカサコソ躍る乾いた葉っぱに、
生き物だとでも思うのか、
反応を調べるべく 恐る恐る前脚を出しては
ちょっかいを掛けている仔猫さんたちで。
それを掃き集めている七郎次さんのお邪魔をしていると
判っているのかいないのか、
爪に引っ掛かって跳ね上がる木の葉なのへの
素早い防御反応のつもりだろうか、
愛らしくも軽やかな身ごなしで ぴょいぴょい跳ねては遊んでおいで。

 「散らかすのは構わないけど、
  勢いあまって溝に落ちたりしないようにね。」

一点集中で周りが見えなくなってしまうの案じてやってる
暑いのは苦手だが寒いのにはめっぽう強い金髪のお兄さんは、
プリムラの鉢をポーチへ並べたり、
忘れちゃいません、この時期恒例のカボチャのランタンを作ったり。
秋の涼しさを味方につけたように、お庭に出る日が多くなり。
陽あたりを考えて並べた鉢の縁によいちょと小さな手を掛けて、
小さなお鼻を近づけてすんくんと匂って見せるおちびさんたちなのへ、

 「気に入りの匂いがするのかな?」

幾つもの鉢をしゃがみ込んでたお膝の周りに並べ、
育ちっぷりによって位置を入れ替えていた手を止めると
匂いを感じるだけならいいけれど、土の匂いに惹かれて穴まで掘らないでねと。
手のひらの中、すっぽり収まる頭を撫でて差し上げる。
枯葉の匂いは猫に限らずとも秋の気配を感じるそれで。
ああそろそろこたつも出さなきゃねぇと、
オレンジがかった陽だまりの中、
やわらかな仔猫らに懐かれながらくすくす微笑ったおっ母様だったそうな。



   〜Fine〜  15.10.24.


 *今回のお話と全く関係ありませんが、
  アニ銀にも斉藤終さん出てきましたねvv(雑談〜vv)
  声は新々009の櫻井孝宏さんで、
  ぶりいちとか ガッシュベルとか出てこない辺り…。
  なんだー、三木さんじゃないのかと思ったんですが、
  三木さんはすでに坂本さん役で出てたんですね。(うっかり)
  本誌に出てきた折に教わってましたが、
  ホント、久蔵さんといろいろかぶるお人で、でも、
  キュウゾウさんの髪型って アフロじゃないしなぁ…。(そこな)

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